読まずに死ねるか!

Posted 2011-09-16

四半世紀の昔、私は送別会でしたたか酔っぱらって西武新宿駅を降りた。乗り換えの電車はなくなっていた。雨降る3月の午前零時過ぎだった。ポケットにはタクシーを拾うお金はなかった。お金もないのに新宿ゴールデン街へ足を向けた。雑誌で見たことがある『深夜+1』の看板が青く灯っていた。ドアの前に立つと、ドアの向こうから喧騒が聞こえてきた。ドアを開けた。カウンターの内、外、立ち飲みの全員がこちらへ目を向けた。「ひとり、ですけど」。入れてもらえた。私の心境は身投げも同然だった。だけど入れてもらえた。