イン・ザ・ペニー・アーケード
Posted 2013-06-08
スティーヴン・ミルハウザー(柴田元幸=訳)。5人の翻訳者による12篇のアンソロジーのなかの一篇。1988年刊行の本の12篇のなかで、この一篇だけが鮮明に脳裏に刻み込まれたのでしょう。25年後に読み返してもこの小説の魅力は失われていません。夏の昼下がり、一人の少年が古びた遊園地の片隅をさまよう小説です。ゲームコーナーの木製のガンマンは、これを信じない人々の視線の呪縛によってその自由を失う。それを理解する者の、慈しみに満ちた視線を浴びれば、その自由を取り戻す。ロックもアートも同じです。