ストーンズとポルシェの変遷と継続について

Posted 2012-12-29

ローリング・ストーンズ50周年の『GRRR!』を通して聴いて、ポルシェ911の変遷を連想しました。

初期は軽量スポーツカーで生産された911が、世界屈指の高級スーパーカーへ発展する。ストーンズの初期はナローポルシェの時代。初期の911は世界最速を競うレーシングな車ではなかった。そのクラスには、フェラーリがいたメルセデスがいたジャガーがいた、。初期の911もストーンズも、軽々ひょいひょい、曲がる止まる加速する。それがレースの経験によって、タイヤを太くしターボを搭載し、911の形態もストーンズの音楽も変貌する。70年代のレースグリッドには、ツッペリンがクイーンがボウイが、BMWがアルピーヌがランチアが並んだ。群雄割拠のなかで911もストーンズも巨大化する。オイルショックはパンクロックのショック。それを乗り越えた80年代は大幅にモデルチェンジ。群雄フェイドアウトの20世紀末、車文化もロックシーンもなしくずし。911もストーンズも当初のレイアウトを崩さずに生き延びる。そして素晴らしき新世紀。911もストーンズも切り札を握っている。これがロックだ、これがスピードスターだ、50年もやってるんだぜ。このカードはジョーカー。

保守とは革新が長い年月継続された立場です。伝統とは破壊と再生の経験をつなぎ合せたものです。現代、911と道路ですれ違ってもストーンズがラジオから流れても珍しくもありませんが、おっ、と振り向かせる。他に似たものがない存在感。遍在する個性が鋭角であり続ける。私はそれが大好きです。