不死の人

Posted 2011-01-15

ボルヘス(土岐恒二=訳)。アルゼンチンの図書館長ボルヘスの幻想小説。主人公はローマ軍団の司令官。西暦3世紀、彼は砂漠のかなたに伝説の不死の人々の都を発見するため出発する。やがて不死の人々の都にたどりつき、そこで古代ギリシャの詩人ホメロスと出会う。その都で不死性を手に入れたローマ人は1929年に死ぬ。28世紀の時間を約30ページの短編に要約する、見ることがかなわない永遠を夢想できる物語。この永遠の相の下に、ホメロスもボルヘスもわたしたちも、読書の短い時間を共有するのです。