彫刻の影
Posted 2013-02-02立体ですから光があたると影ができて当然ですが、版画などの平面作品もつくる私としては、制作途中の彫刻に影ができることに気が付くと、思わず彫る手が止まります。平面作品は絵空事という言葉がある程に、架空の世界を描くことができます。しかし彫刻は、私たちと同じ重力に縛られた太陽系の第3惑星のなかで、同じ太陽の光を浴びます。彫刻は、私たちと同じ世界にいます。その存在は、紙の上の絵具でもモニター画像でもインターネットの上の情報でもありません。今、ここに、見る私たちと同じ空間に、重量と質量を保有して存在します。私は、彫刻が好きです。これは雪がやんで雲の合間から陽が射したアトリエの制作途中の彫刻の影です。手をつくっている途中です。この手は光に向けて、春に向けて伸びようとしています。