鬼手仏心・鎮火

Posted 2012-05-26

『鬼手仏心』本日閉幕します。多くの方々のご来場をいただきまして、ありがとうございました。ご来場者との会話から、私が思い出したエピソードがあります。昭和35年に東京国立博物館で「日本国宝展」が開催されました。この展覧会は彫刻の名品として仏像を陳列したもので、礼拝の対象としてではありません。ところが会期の経過につれて面白いことが現れてきました。仏像の前に賽銭を置いてゆく人々がいたのです。賽銭の多寡で各像の人気を量ると、一位は阿弥陀如来三尊像、二位が風神雷神像でした。鬼神は人気があるのです。この統計から、私たちの信仰や憧憬の中には鬼が生きていると判定するのは早計でしょうか。

さて本日をもちまして、鬼の火は鎮まりますが、消えるわけではありません。皆さまの心に燃え移った火が、皆さまの好意に満ちた想像力の中で、どこまでも分岐し燃え続けることを願います。