花の時間、鬼の時間
Posted 2015-01-18
アトリエに花を生けて木彫刻を彫っていると、時間の観念について考えさせられます。花は刻一刻と枯れていきます。日に日に死に向かいます。昨日より今日、しおれています。一方の彫刻は、昨日より今日、形が出来てきます。私が彫っているのは、樹齢百年以上の楠です。私は今年で生まれてから五十年になります。五十年、百年、千年と誇ったところで、この花の今の一瞬一瞬の輝きがあるでしょうか?時間の長い短いとは何でしょうか?生命の強い弱いとは何でしょうか?この鬼は目をつむっているのではなく、遠くを、もっと遠くを、永遠の相を見ようとしています。
花も鬼も、年月日や時分秒では計れない時のなかで、生きています。