馬場あき子。著者は序章で「日常という、実りすぎた飽和様式のなかで、眠りこけようとするものを醒ますべく、ふしぎに鬼は訴えやまない」と記す。私はこの文章をこのまま、ロックの帯巻きのコピーとして採用したいと思う。著者の音楽観は・・・・[続きを読む]
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私の読書歴を紹介します。読書は勉強というより想像力を鍛える縄とびです
山の人生
投稿日 2013-07-13 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚柳田国男。このblog本棚には、私が一読二読し更に再読して、ふとした機会に思い出す一文がある本を並べている。例えば、バーチャルリアリティ=仮想現実という言葉を聞くと、私はこの本の一文を思い出す。「我々が空想で描いて見る世・・・・[続きを読む]
イン・ザ・ペニー・アーケード
投稿日 2013-06-08 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚スティーヴン・ミルハウザー(柴田元幸=訳)。5人の翻訳者による12篇のアンソロジーのなかの一篇。1988年刊行の本の12篇のなかで、この一篇だけが鮮明に脳裏に刻み込まれたのでしょう。25年後に読み返してもこの小説の魅力は・・・・[続きを読む]
土を喰ふ日々
投稿日 2013-01-12 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚水上勉。「九つから禅宗寺院の庫裡でくらして、何を得したかと問われれば、先ず精進料理をおぼえたことだろう」、小説家のわが精進十二ヶ月。私も料理をします。私は禅宗寺院でくらした経験はないので、我流雑食の自炊と制作の十二ヶ月で・・・・[続きを読む]
33個めの石
投稿日 2012-12-22 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚森岡正博。2007年アメリカのバージニア工科大学で起きた銃乱射事件の小さな情景を題する哲学者による考察。32人を射殺したあと、乱射した学生は自殺した。大学構内には犠牲者追悼の32個の石が置かれた。いつしか33個めの石が、・・・・[続きを読む]
キス・キス
投稿日 2012-12-15 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚ロアルド・ダール(開高健=訳)。この短編集のなかに『誕生と破局』という題の一編がある。1889年4月20日、オーストリアとドイツの国境の町で一人の男の子が誕生した。父親の三度目の妻は、子供を三度亡くしていた。四度目の赤ち・・・・[続きを読む]
木を植えた男
投稿日 2012-12-08 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚ジャン・ジオノ作、フレデリック・バック絵、(寺岡襄=訳)。私は活字中毒の人間です。夜、枕に頭を落とすとき、本を開かずに寝られません。この絵本は私の枕元に毎晩あります。この絵本を開く夜は、その日が私にとってよい一日と感じら・・・・[続きを読む]
芥川龍之介遺墨
投稿日 2012-12-01 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚芥川龍之介の号は、我鬼。この我鬼の書画をみた横山大観は「俺に身柄をあずけないか、三年間みっちり仕込んで物にしてやるから」と誘ったという。みっちり仕込まれることなく芥川は死んだ。現在、文壇の新人賞である芥川賞は名高いが、も・・・・[続きを読む]
駆け込み訴え
投稿日 2012-10-27 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚太宰治。この短編集に収められる一つの小説を、吉本隆明は「新約聖書を理解した日本の文学作品としては最上のもの」と評した。作者不詳のイエスの物語は、この世の最後まで人類の想像力を刺激してやまない。おそらく個人ではなく複数の作・・・・[続きを読む]
カフカ寓話集
投稿日 2012-10-20 Tagged As: 本 | Categories: Blog, 本棚池内紀=編訳。「カフカ伝説」というものがある。発表するあてのない小説をこつこつ書きつづけて、無名のまま自らの死が近づいたとき、友人に作品一切の焼却を依頼した。この友人はカフカの依頼を裏切った。そのため私たちはカフカを読む・・・・[続きを読む]