
ぬすつと犬めが、 くさつた波止場の月に吠えてゐる。 たましひが耳をすますと、 陰気くさい声をして、 黄いろい娘たちが合唱してゐる、 合唱してゐる。 波止場のくらい石垣で。 いつも、 なぜおれはこれなんだ、 犬よ、 青白い・・・・[続きを読む]
西藤博之公式サイト
ぬすつと犬めが、 くさつた波止場の月に吠えてゐる。 たましひが耳をすますと、 陰気くさい声をして、 黄いろい娘たちが合唱してゐる、 合唱してゐる。 波止場のくらい石垣で。 いつも、 なぜおれはこれなんだ、 犬よ、 青白い・・・・[続きを読む]
木彫刻をつくる前は立方体の木材です。この立方体のなかにあるものを彫り出す、いわば発掘作業が私の彫刻制作です。下書きはあるようでない。木材の上に線を引いたところで叩きノミの一撃で消し飛びます。彫りながら出たとこ勝負で彫り進・・・・[続きを読む]
『百鬼夜行絵巻』をめくっていると、500年前の絵巻物のなかにストーンズがいました。この画の赤い舌をべろりと出している鬼は、16世紀のストーンズに違いないと私には思えます。思ったからには作品にします。仏像を基礎に版画を制作・・・・[続きを読む]
実は、私が10年来つかっている和紙が製造元の事情で入手できなくなっています。困ったところで埒があかないので、この機会に違う紙に刷ることを試してみました。思い出したのは、京都の円徳院でみた長谷川等伯の襖絵です。唐紙の地模様・・・・[続きを読む]
私は1994年にボブ・ディランのコンサートを観にいきました。そのときに浴びたエネルギーは長い潜伏期間を置き、2012年に木版画として私の前に浮上してきました。三井寺の如意輪観音菩薩坐像を見たときに、「これはディランだ」と・・・・[続きを読む]
隠れん坊の鬼が当たって、何十か数える間の眼かくしを終えた後、さて仲間どもを探そうと瞼をあけて振り返った時、僅か数十秒前とは打って変って目の前に突然開けている漠たる空白の経験を恐らく誰もが忘れてはいまい。隠れん坊の主題は何・・・・[続きを読む]
今宵はハードボイルド明月 会長を偲ぶ夜 われら万障くりあわせ 深プラで独り酒をのむ 井伏鱒二の詩『逸題』の替え歌です。深プラは今でもあるが会長はもういなくて、かつて会長に店を追い出されて見上げた夜空には、ゆで卵のような月・・・・[続きを読む]
昨年の個展の後、私は一念発起しました。作品制作の量についての決意です。今後は1カ月に1作の新作制作ペースを続ける。これを最低の制作量ラインに引きました。私の版画制作の場合、下絵、彫り、刷り、の全工程が含まれます。できるか・・・・[続きを読む]
奈良興福寺の天燈鬼とJerry Lee Lewis の炎上するピアノを融合させる作品を制作します。この写真はモンタージュですが、私の作品もモンタージュ的な要素があります。私の作品は、複数の素材を煮込み溶かして、一つにしま・・・・[続きを読む]