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断腸亭日乗

投稿日 2011-04-29 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

永井荷風。大正6年から昭和34年まで書きつづけられた日記。この小説家は「既に余命いくばくもなきを知り」と書きつけて、実人生を降りて隠居暮らしのフテ寝を決め込んだが、震災、戦争、銀座、浅草を舞台に、42年間にわたる長編自史・・・・[続きを読む]


笑うショーペンハウアー

投稿日 2011-04-22 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

ラルフ・ヴィーナー編著(酒田健一=訳)。19世紀の哲学者ショーペンハウアーの「哲学の厳粛さにそぐわない」とされてきたユーモアな面を編んだ本。彼の哲学は、彼の厭世主義を機知で飛び越える。『序文を読んで自分が撥ねつけられてい・・・・[続きを読む]


維新における福沢の選択

投稿日 2011-04-15 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

藤田省三。著者の生前に編まれた著作集の一章。幕末戦乱の中、唯一つ、福沢の塾だけが書を読み文明を議論していたのは何故か、と始まるわずか7ページの考察。この著者が7ページに結晶させた思想を、わたしが要約できる筈はない。わたし・・・・[続きを読む]


清陰星雨

投稿日 2011-03-05 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

中井久夫。精神科医が日常から世相までを丹念に綴るエッセイ。1990年から12年間、神戸新聞に年4回連載された。この著者の静かな語り口を読むと、精神科の臨床カウンセリングを受けているような安らかな心地に包まれる。「癒し」と・・・・[続きを読む]


青べか物語

投稿日 2011-02-11 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

山本周五郎。作者は昭和初年、千葉県浦安町に数年住んだ。その経験を元に30年後に書かれた、ノン・フィクションに見せかけた精巧なフィクション。この小説には濃厚な経験の気配はあるが、作者は大声で叫ばない。文章の背後、人形芝居の・・・・[続きを読む]


さざなみ軍記

投稿日 2011-02-05 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

井伏鱒二。寿永二年七月、平家一門は六波羅に火をかけて都落ちした。そのとき、平家某の一人の少年が書き残した陣中日記。これは架空の物語。著者が平家落人の古記録を掘り起こして、行間に実感のある描写を充填した小説版「平家物語」。・・・・[続きを読む]


眠くて死にそうな勇敢な消防士

投稿日 2011-01-29 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

アルベルト・モラヴィア(千種堅=訳)。10億年前のブラジルで森の消防団が結成された。ナマケモノ、モグラ、モルモットなど、ぐうたらばかりの消防団。のろまなナメクジの報で火事場に急ぐ?眠くて死にそうな消防士のゆく先には、の表・・・・[続きを読む]


イリアス

投稿日 2011-01-21 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

アレッサンドロ・バリッコ(草皆信子=訳)。ホメロス作の古代ギリシア語を、著者が現代イタリア語の朗読劇に改変して、さらに現代日本語に訳した本。著者の前書によると「使っている煉瓦はホメロスのものだが、出来上がった壁は」200・・・・[続きを読む]


不死の人

投稿日 2011-01-15 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

ボルヘス(土岐恒二=訳)。アルゼンチンの図書館長ボルヘスの幻想小説。主人公はローマ軍団の司令官。西暦3世紀、彼は砂漠のかなたに伝説の不死の人々の都を発見するため出発する。やがて不死の人々の都にたどりつき、そこで古代ギリシ・・・・[続きを読む]


わが西遊記

投稿日 2011-01-10 Tagged As: | Categories: Blog, 本棚

中島敦。三蔵法師と悟空、八戒、悟浄の冒険物語を、カッパの悟浄が独白で語る短編。のろまで愚図な悟浄が、自己及び世界の究極の意味に就いて、悩み迷い、遍歴する。あるとき彼の苦悩の前に菩薩が現れ得度し給う。「世界は、概観による時・・・・[続きを読む]